「おがくず」や「おが粉」という言葉は聞いたことはあっても、どのように使うのかはあまり知らないという方は多いのではないでしょうか。酵素風呂などをきっかけにおがくずを知った方もいるかもしれません。
本記事では、おがくずとおが粉の違いやそれぞれの特徴、具体的な使い道や効果について詳しく解説します。木材副産物の有効活用方法を理解し、持続可能な資源循環に役立てていただければ幸いです。
おがくずとは?
おがくず(大鋸屑)とは、ノコギリなどで木材を加工する際に生じる細かな木屑のことを指します。
「おが」は、丸太から板を切り出すための大型の鋸を意味し、 その加工過程で発生する木屑が「おがくず」と呼ばれます。
おがくずの特徴
おがくずは、木材を加工する際に生じる細かな木屑で、主成分はセルロース、ヘミセルロース、リグニンです。
これらの成分により、保水性や通気性に優れ、土壌改良材として利用されています。また、微生物の分解を受けやすく、堆肥化しやすい特徴も持ちます。
おがくずがつくられるプロセス
おがくずの製造工程を紹介します。まず国産のスギやヒノキなどの原木を調達、製材所で丸太から板材などに加工する際に、ノコギリや帯鋸などの刃物で切断する過程でおがくずが生成されます。
これらの木屑は大型の集塵設備によって収集され、畜産業の敷料や農業の緩衝材、工業の吸着材や燃料など、さまざまな用途で活用されています。
おが粉とは?おがくずとの違い
おが粉は、木材を微細な粉末状に加工したものです。おがくずより粒子が細かく、きのこ栽培や家畜敷料などに利用されます。
おが粉の特徴
おが粉は、木材を加工する際に生じる微細な木粉で、主にスギやトドマツ、カラマツなどの針葉樹が原料となります。 その特徴として、通気性が良く、空気を多く含むことが挙げられます。
また、含まれる精油成分は、人の疲労を軽減する効果などが報告されており、家畜に対しても生理的に良い効果をもたらすことが考えられます。
これらの特性から、家畜の敷料やきのこ栽培の培地など、さまざまな用途で活用されています。
おがくずとおが粉の主な違い
おがくずとおが粉の違いは、見た目や用途、生産工程にあります。おがくずはノコギリで木材を切断した際に生じる木屑なので、見た目はおご粉と比較すると粗いものになります。粗いガーデニングや土壌改良に適しています。
一方、おが粉は木材を細かく粉砕して得られる微細な木粉で、見た目も細やかです。主にきのこ栽培や家畜の敷料として利用されます。さらに、製材過程で自然に生じるおがくずに対し、おが粉は専用の粉砕装置を用いて生産される点も大きな違いです。
おがくずの販売店では、購入者の好みによって粗さを調節してくれるお店もあるようです。
おがくずの効果・メリット
おがくずは、土壌改良や家畜の敷料として活用され、保水性や通気性、消臭効果が期待できます。
また、燃料としても利用可能で環境に優れています。詳しく見ていきましょう。
土壌改良材としての役割
おがくずは、適切に堆肥化することで土壌改良材として有効に活用できます。堆肥化されたおがくずは、土壌の保水性や通気性を向上させ、植物の根の発育を促進します。ただし、未熟なまま使用すると、土壌中の窒素を微生物が多く消費し、作物の生育に影響を及ぼす可能性があります。そのため、牛糞や鶏糞などの窒素源と混合し、十分に発酵・熟成させた上で使用することが重要です。
家畜飼育として利用
おがくずは、家畜の飼育環境を改善するために畜舎の床材として利用されています。吸湿性に優れ、家畜の排泄物による湿気を効果的に吸収するため、畜舎内を衛生的に保ちます。
また、柔らかな質感が足元のクッションとなり、家畜の関節や蹄を保護します。さらに、使用後には堆肥として再利用できるため、資源循環にも寄与します。このように、環境面と家畜の健康管理の両面でメリットが大きい素材です。
環境への影響とリサイクル
おがくずは、木材加工時に生じる副産物であり、適切に再利用することで環境保全に大きく貢献します。たとえば、畜舎の敷料として使用されたおがくずは、家畜の排泄物と混ざり合い、堆肥として再利用されます。この堆肥は農地に還元され、土壌の肥沃度を高める役割を果たします。このような循環型の利用方法は、廃棄物の削減と資源の有効活用につながり、持続可能な社会の実現に寄与します。
おがくずとおが粉の使い道と注意点
木材加工時に生じる副産物であるおがくずとおが粉には、さまざまな効果や役割があることがわかりました。ここではおがくずやおが粉の具体的な使い道について見ていきましょう。
堆肥
おがくずは、堆肥化することで土壌改良材として活用できます。しかし、未熟なおがくずを直接土壌に施用すると、分解過程で窒素を消費し、植物の生育に影響を与える可能性があります。そのため、牛糞や鶏糞などの窒素源と混合し、十分に発酵・熟成させてから使用することが推奨されます。家庭菜園などでおがくずを肥料として検討している方は注意が必要です。
ペットの床材
おがくずは、小動物の床材として広く利用されています。特に、ハムスターやウサギなどの飼育に適しており、自然な木の香りがペットの快適な環境を提供します。また、ヒノキのおがくずは消臭効果や抗菌作用があり、ペットの皮膚病の改善にも寄与する事例があります。
ただし、使用するおがくずの種類や品質には注意が必要です。化学物質が含まれていない天然素材を選ぶことが重要です。また、おがくずの湿気の管理や定期的な交換で、ペットの健康を守れるでしょう。
バイオマスエネルギー材料
おがくずは、木材のバイオマスエネルギーとして有効利用されています。圧縮して木質ペレットをつくり、家庭用ストーブやボイラー、発電所で使用されます。再生可能エネルギー源として注目され、持続可能なエネルギー供給に貢献しています。
おがくず・おが粉の主な樹種
おがくずやおが粉は、スギやヒノキ、カラマツなどの針葉樹や、ナラ、ブナなどの広葉樹から得られ、ガーデニング、きのこ栽培、バイオマス燃料などに利用されています。
ここではスギ・ヒノキ・マツの木材が持つ性質を紹介します。
スギ
スギは日本全国で広く分布する針葉樹で、軽量で加工しやすい性質を持っています。独特の爽やかな香りが特徴で、リラックス効果があり、建築材や家具、内装材として広く利用されています。スギの木材は強度と耐久性に優れ、美しい木目も魅力です。
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ヒノキ
ヒノキは、優れた耐久性と美しい木目が特徴の針葉樹。爽やかな香りはリラックス効果をもたらします。抗菌性の高さからまな板などにも使われる木材です。加工しやすく、建築材や家具、内装材として広く利用されています。
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マツ
マツは、密度が高く重厚な針葉樹で、美しい木目と鮮やかな色合いが特徴です。建築材や家具、内装材として利用され、耐久性に優れています。油分が多く耐水性に優れることから、ガーデン家具やウッドデッキにも使用されています。
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