宮崎杉の良さや特徴、飫肥杉との違い、樹齢100年の杉の魅力を紹介

九州南部の温暖な気候と豊かな森林資源を背景に育まれた「宮崎杉」。その美しい木目や優れた加工性、そして100年超の樹齢が生む深い味わいに、近年改めて注目が集まっています。

宮崎の杉といえば「飫肥杉」を思い浮かべる方も多いと思いますが、宮崎杉とはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、宮崎杉の魅力や飫肥杉との違い、さらに100年を超える宮崎杉ならではの価値をご紹介します。

目次

宮崎杉とは?

宮崎杉とは、宮崎県内で育成されたスギ材を総称する地域ブランドの名称です。

宮崎県は九州南部に位置し、太平洋に面した温暖な気候と豊かな降雨量、そして山地や台地が広がる地形をもつことから、古くから杉の栽培に適した土地として知られています。

江戸時代には植林や森林管理が進められ、林業が地域の産業として根づきました。こうした自然条件と長い林業の歴史が、現在の宮崎杉を支えています。

その結果、宮崎県のスギ素材生産量は34年連続で全国1位を記録。県全体で「宮崎杉」としてブランド化され、住宅や家具、内装材など幅広い用途で全国に出荷されています。

宮崎杉の特徴や良さは?

まずは、宮崎杉が持つ特徴や魅力を見ていきましょう。

まっすぐで美しい木目とやわらかな色合い

宮崎杉は、宮崎県の豊かな森林環境の中で育った杉で、幹がまっすぐ伸びやすい性質があります。そのため、「まっすぐで利用しやすく、加工がしやすい」と紹介されることも多い木材です。

色合いは、淡いクリーム色から淡い赤みを帯びたやわらかなトーン。木目が美しく現れやすいため、床材・壁材・天井材などの内装材として高く評価されています。

こうした見た目の美しさが、住まいに自然の温もりをもたらします。

軽くて加工しやすい

宮崎杉は軽量でありながら、弾力性にも優れています。油分を多く含むため水を弾きやすく、軽くてしなやか、そして加工がしやすいのが特徴です。

この軽さと扱いやすさは、建築現場での作業性を高め、柱・梁・床板・家具など幅広い用途に適しています。さらに、乾燥や強度などの品質管理が徹底された県産材として、安心して使える点も多くの人に選ばれる理由です。

香りと調湿効果で心地よい空間に

宮崎杉には、湿度の高い環境でも役立つ調湿性能と、木の香りによる心地よさが備わっています。宮崎県の研究では、スギ材に含まれる香り成分によるリラックス効果や、湿度を一定に保つ調湿作用、抗菌作用などが確認されています。

室内空間に宮崎杉を取り入れることで、湿気がこもりがちな季節でも快適に過ごせ、自然な木の香りがやさしく包み込む、落ち着いた空間をつくることができます。

<関連記事>杉の種類と特徴を徹底解説!日本三大杉や宮崎県の飫肥杉なども紹介

飫肥杉との違いは?

全国的にも知られている「飫肥杉(おびすぎ) 」は、宮崎県を代表する杉のひとつです。

では、この飫肥杉と宮崎杉には、どのような違いがあるのでしょうか。歴史や地域、特徴の違いを見ていきましょう。

飫肥杉は宮崎杉の中の地域ブランド

飫肥杉は、宮崎県南東部の旧飫肥藩 領域で育成されたスギ材で、宮崎杉の中でも特定の地域・林業形態により育てられたものを指します。品種名ではなく、地域ブランドとして「飫肥林業地域」で生産された 18 品種のスギを総称した呼称です。

主に旧藩が植林を推進し、江戸時代からの歴史をもつ林業地域である点が特徴です。

現在では、宮崎県を代表する地域ブランド材として、県外でも「飫肥杉」の名が広く知られ、建築や家具づくりの分野でその品質が高く評価されています。

飫肥杉の特徴

飫肥杉は樹脂分を豊富に含むため、湿気に強く腐れにくい性質をもちます。

また、軽量で弾力性があり、曲げや衝撃にも耐える性質があるため、加工時に割れや裂けが起こりにくいとされます。

赤身部分(心材)には特に防蟻・防腐性能が高い成分が含まれており、長く使える木材として評価されています。

飫肥杉の主な用途

歴史的には、飫肥杉は木造船の材(弁甲材)として瀬戸内海沿岸等に出荷されていました。

現在では、建築用構造材(柱・梁)、天井・壁・床板、さらには無垢材家具や外装材として幅広く利用されています。

その耐久性と加工性の高さから、住宅づくりにおいても人気の素材です。

なぜ宮崎の杉が選ばれるの?

ここでは、宮崎杉が多くの人に選ばれている背景を、地域の文化と技術の観点から見ていきます。

森とともに生きる林業の文化

宮崎県の林業は、江戸時代に始まった植林や森林管理の取り組みが現代まで受け継がれています。県内では、「木を植え、育て、伐り、また植える」──この森林サイクルを守りながら、森とともに生きる文化が根づいています。

宮崎県庁の公式サイトでも、林業従事者や製材業者の取り組みが紹介されており、地域全体で森林を守り育てる姿勢がうかがえます。

宮崎県の人工林面積は全国の約3.3%を占めており、地域の山を守りながら材として活かす“循環型の森づくり”が、宮崎杉が選ばれる大きな基盤になっています。

高い製材技術と職人の目利き

宮崎県内には、木材の加工・利用を専門に研究・支援する機関が整備されています。

たとえば、宮崎県木材利用技術センターでは、県産スギの部材性能評価や構造用木質材料の開発を進め、製材の質を高める研究が行われています。

一方で、現場の製材所では、自動化技術や端材の有効活用といった先進的な取り組みとともに、職人による木の見極めが受け継がれています。年輪の詰まり具合や節の位置、色味などを見極め、用途に最も適した材を選び出す“目利き”の技が、素材の魅力を最大限に引き出しています。

こうした伝統的な職人技と最新技術が融合した加工・流通の基盤が、宮崎杉を住宅材・構造材として安心して選べる理由となっています。

樹齢100年超えの杉材「ハンドレッドシダー」とは?

宮崎県日向市に拠点を構える株式会社グロースリングは、製材業と百年木材事業を営む会社です。

長年培ってきた木を見る目(目利き)と確かな製材技術で、一本一本の木の個性を活かしながら、その価値を最大限に引き出しています。

そんなグロースリングが手がける「ハンドシダー(Hundred Cedar) 」は、樹齢100年を超える国産杉を使用した特別な内装材シリーズです。宮崎県産をはじめとした高樹齢の杉材を厳選し、長い年月をかけて育った木が持つ緻密な木目や深い色味を生かしています。

以下では、ハンドシダーならではの魅力と、その木材が生み出す特別な価値をご紹介します。

高密度の年輪が生む強度

樹齢100年以上という長い年月をかけて育った杉材は、年輪が細かく、密に詰まっているのが特徴です。年輪の詰まりは、木材としての構造的な安定性や強度、疲労耐性を高める要因となります。

そのため、建築やインテリア部材として使用しても反りや歪みが起こりにくく、長く安心して使うことができます。

そして何より、100年という歳月を耐えてきた木だけが持つ深い年輪の重なりが、素材に唯一無二の存在感と価値を与えています。

天然油分・ヤニによる耐久性

ハンドレッドシダーに使われる樹齢100年以上の杉材は、天然のオイルやヤニを豊富に含むのが特徴です。長い年月をかけて育った木は、中心部に赤身(心材)が多く形成され、水分や湿気、腐れ、虫害に強い性質を備えています。

そのため、屋内外を問わず、湿度の高い環境でも長く美しさと強さを保つことができ、優れた耐久性を持つ木材として評価されています。

経年変化で深まる美しさ

ハンドレッドシダーに使われる高樹齢の宮崎杉は、緻密な年輪が織りなす美しい木目が魅力です。時間の経過とともに、色味はより深みを帯び、艶やかで落ち着いた表情へと変化していきます。

使い込むほどに木肌がなじみ、まるで素材そのものが“育っていく”ような風格を感じられるのも、百年杉ならではの味わいです。家具や壁・床などに取り入れることで、住まいに年月とともに深まる温もりをもたらします。

内装材「ハンドレッドシダー」の詳細ははこちらからご覧いただけます。※板柾混合・無節・上小節などの仕様や実製品の写真も掲載されています。

杉材「ハンドレッドシダー」活用事例

「ハンドレッドシダー」は、宮崎県産をはじめとした樹齢100年超の国産杉材を使用しており、住宅の床や壁だけでなく、高級ギターのトップ材としても採用されています。

次に、具体的なギターの事例をご紹介します。

モーリスギター『Japan Forest Series』

Morris Guitars の「Japan Forest Series」では、宮崎県産の百年木材「ハンドレッドシダー」がトップ材として採用されています。

地スギ特有の音の立ち上がりの速さと、柔らかいながらも芯のある響きが特徴。明るく優しいトーンの中に一本の筋が通ったような深みがあり、弾き始めた瞬間に心地よい音色が空間に広がります。

日本のスギらしい艶と温かみがあり、スプルースとシダーの両方の良さを兼ね備えた外観も魅力のひとつです。

ギター材としての宮崎杉は、音の個性と美しさを両立させる国産材の新しい可能性として高く評価されています。

宮崎の杉のことなら、日向市のグロースリングへ

宮崎県日向市に拠点を置く株式会社グロースリングは、宮崎杉の製材・加工を一貫して行う木材のプロフェッショナルです。一本の木の個性を見極め、最も美しく活かす製材技術で、空間づくりや製品づくりをお手伝いしています。

樹齢100年以上の杉を使った内装材「ハンドレッドシダー」をはじめ、宮崎杉の素材選びやオーダー製作などのご相談も承っています。

“木の魅力を知る人とつくる”特別な一品を、ぜひグロースリングにご相談ください。

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