木材は、建築や家具製作において重要な素材ですが、使用環境によっては変形や割れが生じることがあります。その対策として広く利用されているのが「KD材(Kiln Dried材)」です。
KD材は、人工的に乾燥させた木材で、寸法安定性や加工性に優れています。この記事では、KD材の含水率の基準や天然乾燥材との違い、メリット・デメリット、そして近年注目されている低温乾燥技術について詳しく解説します。木材選びに役立つ情報を、初めての方にもわかりやすくまとめています。
KD材とは

KD材とは「Kiln Dried(キルンドライ)」の略で、人工的に乾燥させた木材のことを指します。乾燥機を用いて、温度や湿度を管理しながら木材内部の水分を取り除くことで、寸法の安定性や強度を高めています。この方法により、自然乾燥では得られない安定した品質が保たれるため、建築材や家具材など広く使われています。
KD材の含水率
木材の含水率とは、木材中に含まれる水分の割合を示す指標で、木材の性能や耐久性に大きく影響します。KD材の含水率は、用途に応じて以下のように分類されています。
・D25:含水率25%以下
・D20:含水率20%以下
・D15:含水率15%以下
一般的に、構造材にはD20やD15が使用され、内装材や家具にはより低い含水率が求められます。含水率が低いほど、木材の収縮や変形が少なくなり、安定した品質が確保されます。ただし、過度に乾燥させると耐久性や加工性に悪影響が出る可能性があるため、目的に応じた適切な含水率の管理が重要です。
KD材のメリット・デメリット

人工乾燥によって安定した品質を保つKD材は、多くの建築材や家具材などに利用されています。しかし、すべての用途に万能というわけではなく、その特性を理解して使い分けることが大切です。ここでは、KD材の主なメリットとデメリットを解説します。
メリット
KD材は、人工的に乾燥させることで含水率を適切に管理し、木材の寸法安定性を高めています。これにより、建築後の反りや割れが生じにくくなり、施工精度の向上やメンテナンスの軽減につながります。また、乾燥によって木材内部の水分が適切に除去されることで、カビや腐朽菌の発生リスクが低減され、耐久性が向上します。
さらに、KD材は加工性に優れており、切断や接合が容易で、塗装の仕上がりも良好です。これらの特性から、住宅の構造材や内装材、家具製作など、幅広い用途で採用されています。
デメリット
KD材は人工乾燥の工程を経るため、乾燥設備の導入やエネルギー使用により、自然乾燥よりも製造コストが高くなることがあります。また、高温・急速乾燥によって木材内部にひび割れが生じるリスクがあり、木材本来の色合いや艶が損なわれる可能性もあります。
加えて、過度な乾燥は木材の粘りやしなやかさを失わせ、加工時の割れやすさにつながることがあります。さらに、湿度の高い環境下では再吸湿が起こり、膨張や収縮を繰り返すことで変形や劣化の要因となり得ます。
含水率の管理を徹底し、適切な乾燥工程を行う製材所であれば、上記のリスクを抑え安心できる品質のKD材が入手できるでしょう。
SD材・グリーン材との違いは?
SD材(Surfaced Dry材)とは、含水率を一定以下に乾燥させ、表面仕上げを施した乾燥木材を指します。JAS(日本農林規格)では、含水率15%以下の「SD15」や20%以下の「SD20」があり、主に構造用製材に使用されます。
一方、KD材(Kiln Dried材)は、乾燥機を用いて人工的に乾燥させた総称で、含水率を15~20%程度まで下げています。KD材の中には表面加工されたものもあり、その場合はSD材として扱われることもあります。両者は乾燥処理や表面仕上げの違いにより区別され、用途や仕上がりの要件に応じて適切に選択されます。
グリーン材とは、伐採後に乾燥処理を施さない状態の木材で、含水率が高く、水分を多く含んでいます。グリーン材は安価で加工も容易ですが、使用後に収縮や反りが生じやすく、寸法安定性に欠ける点がデメリットです。
KD材の使用用途
安定した品質と高い加工性を持つKD材は、建築や家具製作などに幅広く利用されています。ここでは、KD材の代表的な使用用途をご紹介します。
建築材(柱・梁・土台など)
KD材は、寸法安定性と強度に優れているため、住宅や建築物の構造材として広く使用されています。柱や梁、土台など、建物の骨組みに使用される部材には、含水率が適切に管理された乾燥木材が求められます。特にプレカット加工では、木材の寸法精度が施工品質に直結するため、KD材の使用が推奨されます。さらに、人工乾燥により木材内部の水分が除去されていることで、シロアリやカビの発生リスクが抑えられ、構造材としての耐久性向上にも貢献します。
内装材(床材・壁材・天井材)
KD材は、内装材としても多くの利点があります。床材や壁材、天井材に使用することで、湿度や温度の変化による収縮や膨張を抑え、美しい仕上がりを長期間維持できます。また、KD材は加工性に優れており、塗装や仕上げがしやすいため、デザインの自由度が高まります。さらに、木材内部の水分が除去されているため、カビや腐朽のリスクが低減され、室内環境の衛生面でも安心です。
家具・雑貨
KD材は、家具や雑貨の製作にも適しています。含水率が管理されているため、製品の寸法安定性が高く、長期間使用しても反りや割れが生じにくいのが特徴です。また、KD材は加工性にも優れ、細部の仕上げや彫刻などの繊細な作業にも対応できます。
さらに、木材内部の水分が除去されているため、塗装や接着剤の浸透がよく、美しい仕上がりに。これらの特性から、KD材は高品質な家具や雑貨の製作に広く利用されています。
KD材を選ぶときのポイント

KD材(Kiln Dried材)を選ぶ際は、使用目的に応じた適切な含水率を確認することが重要です。建築構造材には、含水率15%以下の「D15」や20%以下の「D20」が推奨され、内装材や家具にはさらに低い含水率が求められます。含水率が低いほど寸法安定性が高まり、反りや割れのリスクが軽減されます。ただし、過度な乾燥は木材の粘りやしなやかさを損なう可能性があるため、用途に適した含水率のKD材を選定することが大切です。
グロースリングの木材乾燥へのこだわり

グロースリングは、デクスウッド宮崎事業協同組合の組合員です。杉の製材事業と百年木材事業を展開し、それぞれに最適な乾燥技術を採用しています。建築材に適したKD材は、高温の蒸気による人工乾燥を施し、寸法や含水率を厳しく管理したうえで出荷。
一方、百年木材では、素材の風合いを活かすために天然乾燥と低温除湿乾燥を組み合わせています。原木の仕入れから製材、乾燥、グレード分け、熱処理、出荷まで、職人の技術と徹底した品質管理で安定した製品供給を行っています。
KD材の特徴・用途・選び方のまとめ
KD材は、乾燥設備によって含水率をコントロールされ、反りや割れが少なく寸法が安定している木材です。構造材、内装材、家具など幅広い用途に対応し、加工性・耐久性にも優れています。選ぶ際は、目的に応じた含水率を確認することが重要です。
グロースリングでは、厳密な品質管理のもと高品質なKD材を提供しています。KD材のことならぜひ当社にご相談ください。お問い合わせはこちらから。