水に強い木材とは?種類や用途から考える素材選びのヒント

キッチンやウッドデッキなど、水回りや屋外で木材を使いたいと考えたとき、「どんな木を選べばよいのか」と悩まれる方は少なくありません。

実は「水に強い木材」といっても、一つの答えがあるわけではなく、樹種や部位、育った環境によって性質は大きく変わります。

本記事では、木材と水の関係を整理しながら、用途や目的に合わせた素材選びのヒントをご紹介します。

目次

「水に強い木材」とは

木材と水の関係について、まずは基本から整理していきましょう。

そもそも「水に強い」とはどういう意味?

木材における「水に強い」という表現は、一般的に耐水性や耐久性を指して使われることが多い言葉です。具体的には、水分や湿気に長期間さらされても腐りにくい、変形しにくい、カビや虫の被害を受けにくいといった性質のことです。

ヒノキやチークなどの木材には、ポリフェノールやタンニンといった成分が含まれており、これらが菌の活動を抑える要因の一つとされています。

また、密度が高く水分が浸透しにくい樹種や、乾燥しやすく菌が繁殖しにくい含水率を保ちやすい樹種は、「水に強い」と表現されることがあります。

木にとって水は敵?味方?

生きている樹木にとって、水分は根から養分を吸い上げるために不可欠な存在です。しかし、木材として使用される段階では、水分が仇となることもあります。

木材は乾燥と湿潤を繰り返すと、膨張と収縮を繰り返し、反りや割れの原因となります。一般的に、含水率が20~30%程度となり、温度や酸素などの条件がそろうと、木材腐朽菌が活動しやすくなり、劣化が進むとされています。

つまり、水は樹木が育つ過程では味方ですが、木材として使われる際には適切な管理が必要な相手といえるでしょう。

木の傷みやすさ・腐りやすさは、何で決まる?

木材の耐久性は、樹種だけでなく、さまざまな要素が複雑に関わり合って決まります。

木材の種類(樹種)による違い

ヒノキや栗などの樹種は、成分や材質の特性から、耐久性が高い木材として扱われることが多い木です。中でもヒノキには「ヒノキオール」と呼ばれる精油成分が含まれており、菌の繁殖を抑える性質があるとされています。

一方、栗材は「タンニン」という成分を多く含むことで、防虫性や耐朽性に関わる特性を持ち、屋外用途を含めて利用されてきました。

ただし、同じ樹種であっても、育った環境や樹齢、どの部位を使うかによって木材の性質は変わります。

樹種名だけで性能を判断できるものではなく、個体差や部位による違いも踏まえる必要があるでしょう。

赤身と白太で変わる傷みやすさ

木材を輪切りにすると、中心に近い赤っぽい部分(赤身・心材)と、外側の白っぽい部分(白太・辺材)が見られます。

赤身は、細胞が役割を終えたことで性質が変化し、水分を含みにくく、比較的腐りにくい特徴を持ちます。これは、赤身に樹脂成分や防虫成分などが多く含まれることが関係していると考えられます。

一方、白太は根から吸い上げた養分や水分を通す役割を持つ細胞で構成されており、柔軟性はありますが、水分を含みやすいことから、耐久性の面では不利になりやすく、虫や菌の影響を受けやすい傾向があります。

ただし、使用環境や乾燥方法によって結果は変わるため、条件次第で評価が変わります。

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樹齢が木材の性質に与える影響

樹齢100年を超える高樹齢材は、年輪が密に詰まり、年輪幅が比較的細かい例が多く見られます。年輪が細かい木材は、木の組織が均一になりやすく、乾燥や湿度変化による伸縮が穏やかなため、反りや割れが起こりにくい傾向があります。

こうした性質から、木材としての安定性が高く、経年変化にも比較的強いと考えられています。

一方、若い木は年輪幅が広くなる傾向があり、成長が早い分、組織にばらつきが出やすくなります。成長のスピードが速い材では、乾燥の過程で収縮差が生じやすく、用途や条件によっては強度や安定性に差が出る場合があります。

ただし、年輪幅は生育環境の影響も大きく、樹齢が高くても条件の悪い場所で育った木では、密度や強度が十分でないこともあります。

このように、木材の性質は樹齢だけで判断できるものではなく、年輪の状態や育った環境をあわせて見ることが重要です。

「水に強い」と言われる代表的な木材は?

ここでは、水に強いとされる代表的な樹種を紹介します。

ヒノキが水に強いと言われる理由

ヒノキは日本の浴室で使われてきたように、水や湿気に強い木材として知られています。

その背景には、「ヒノキオール」や「αカジノール」といった精油成分の存在が挙げられます。

これらの成分は、菌の繁殖を抑える性質に関係しているとされ、ヒノキが水回りで使われてきた理由の一つと考えられています。

また、ヒノキは油分を含み、木目が緻密で構造的にも安定しやすい材です。

神社仏閣に使われてきた背景にも、こうした耐久性や水分に対する安定性が関係していると考えられます。

栗が屋外で使われてきた背景

栗材は、縄文時代の遺跡からも柱材などとして出土しており、古くから耐久性のある木材として使われてきた歴史があります。タンニンと呼ばれる成分を多く含むことが、耐朽性や保存性に関係していると考えられています。

栗材は堅く丈夫な材質を持ち、耐久性が求められる用途に選ばれてきました。地域や時代によっては、建築材のほか、鉄道の枕木や船、橋梁などに使われた例もあります。

杉は本当に水に弱い木材?

「杉は水に弱い」という印象を持つ方も多いかもしれません。

たしかに、若い杉材や白太部分を多く含む材は、湿気や水分の影響を受けやすい側面があります。

一方で、杉の赤身は、条件が整えば高い耐朽性を示すことが知られています。法隆寺昭和大修理に携わった西岡棟梁が「杉の赤身は100年以上もつ」と語っているように、赤身部分には精油成分が多く含まれ、長期間使われてきた実例もあります。

つまり、杉そのものが水に弱いのではなく、どの部位を使うのか、どの程度の樹齢か、どのように乾燥・加工されているかといった条件によって評価が大きく変わる木材だといえるでしょう。

百年木材|高樹齢材はなぜ水に強い?

百年木材は、樹齢100年以上の銘木のみを選び抜いて扱うプロダクトです。

高樹齢木材が水に強いとされる理由や、その背景にある素材の特徴を見ていきましょう。

年月を経た木材ならではの性質

樹齢100年を超える高樹齢材に見られる特徴の一つが、年輪の密度の高さです。

長い時間をかけてゆっくりと成長した樹木は、年輪が細かく均一に詰まり、晩材の占める割合が多くなります。

年輪が密に詰まった木材は、乾燥や湿度変化による影響を受けにくく、狂いや反り、変形が起こりにくい傾向があります。

その結果、寸法の安定性が保たれやすく、長期間の使用にも耐えやすい素材となります。

樹齢100年を超える木材には、50〜60年生の木では得られない、木目の締まりや粘り、落ち着いた色味が表れます。

それは、長年にわたり自然環境の中で少しずつ組織を形成してきた結果であり、見た目の美しさだけでなく、素材としての信頼感にもつながっています。

長く使うことを前提にした木材選び

百年木材の考え方は、短期間で交換することを前提とした素材選びとは異なります。

使い捨てではなく、長く使いながら手を入れ、次の世代へと受け継がれていくことを前提に木材を選んでいます。

そのために欠かせないのが、木材の性質を正しく見極める目利きです。樹齢100年以上であることは前提条件としつつ、赤身と白太のバランス、育った環境などを含めて、一本一本の原木を、木材のプロの目で確認しています。

木材の耐久性や安定性は、部位だけで一律に決まるものではありません。使い方や設置環境との組み合わせによっても大きく変わるのです。素材の特性を読み取り、適した用途に活かすことで、環境の変化や湿度、虫害の影響を受けにくい状態で長く使うことが可能になります。

百年木材は、素材そのものの力だけに頼るのではなく、選び方と使い方を含めた考え方によって、世代を超えて使い続けられる価値を生み出しています。

百年木材が屋外で使われている事例

ここでは、百年木材が屋外環境でどのように使われているのか、実際の事例をもとに紹介します。

杉のウッドデッキ

グロースリングの百年木材事業では、樹齢100年以上の国産杉を加工した「Hundredcedarシリーズ」として、ウッドデッキ材を提供しています。

杉の赤身部分は油分を多く含み、耐水性に優れることから、屋外のガーデン家具やウッドデッキに適した素材です。

高樹齢の杉材は年輪が密に詰まり、狂いや変形が少ないため、屋外環境においても長期間にわたり、美観と機能性を保つことができます。

店舗や住宅の門扉

グロースリングの百年木材は、店舗内装や住宅の門扉など、屋外での使用を前提とした場面でも採用されています。門扉は風雨にさらされる環境であるため、素材そのものの耐久性や、経年変化の出方が重要になります。

樹齢100年以上の杉材は、そうした条件下でも安定して使える素材として選ばれており、時間の経過とともに深みを増す風合いも魅力の一つです。

水に強い木材を、使いながら育てていくという考え方

木材を長く使うためには、劣化を防ぐことだけを目的にする必要はありません。時間とともに変化する素材として向き合い、必要に応じて手を入れながら付き合っていくことも、大切な考え方の一つです。

汚れを拭き取り、乾燥が気になれば状態を整える。

小さな傷も含めて変化を受け入れることで、木材は次の世代へとつながっていくでしょう。水に強い木材を選んで終わりではなく、使い手が木と向き合いながら時を重ねていくことで、本当の意味で「水に強い」関係が育っていきます。

木材の選び方や使い方に迷ったときは、素材の性質を理解したうえで提案できる専門家に相談するのも一つの方法です。

グロースリングでは、用途や環境に合わせた木材選びのご相談を受け付けています。気になることがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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